漢字の書き取り

小学生がテストなんかで自分の氏名を書く時に、学校(担任)から「授業で習った漢字以外は使わず、平仮名で書くように指導される」という話があるじゃないですか。

ああいうの、しょーもない縛りだと思いません?

「新しい知識をどんどん増やしたい」
「覚えた事を先生や友達に知らせたい」
「頑張って勉強したねと褒めてもらいたい」

そんな子供達の意欲・好奇心・自尊心…成長につながるポジティブな気持ちに蓋をするような、とても残念な教育方針だと思っています。

教わらなくても自分から練習して漢字がたくさん書ける子には、どんどん漢字を使わせてあげればいいのになー、と。

今回は、小中学校における“名前の交ぜ書きの是非”について語ってみることにします。

小学校における“交ぜ書き問題”

たとえば、全国で2番目に多い苗字とされる「鈴木」さん。文部科学省の学年別漢字配当表によれば、“鈴”という漢字は小学生のうちに学ぶ漢字には含まれていません。目安としては中学1~3年生が学ぶべき漢字ということだそうです。

先ほどの「授業で習っていない字は使わない」というルールに当てはめると、鈴木さんは小学生時代を「すず木」さんとして過ごすことになります。実際に、全国の小学校低学年の鈴木さん・鈴木くんの中には、“すず木”と書かされている子が多いんでしょう。

それでは全国の小学生、全員が全員そうしたルールの中で生活しているかというと、そうじゃないのがまた問題をややこしくしています。つまり、この妙なルールは“文部科学省からの通達で決まっているわけではない“からです。

先生方が、国から「習っていない漢字は使わせないように!」と指導されているわけではないんですね。

ですから、厳格に“習った文字だけルール”に則って指導している先生もいれば、それとは対照的に「自分の名前は正しい漢字で書きましょう」と、低学年のうちから指導している先生もいるということです。

どちらも、その先生なりの指導方針・信念のもとに「よかれと思って」そのようにしているはずです。そう思いたい。

では一体なぜ、こんな事になっちゃってるのか?

“交ぜ書き氏名”がうまれる原因

授業中

端的に言えば「読み書きできる子とそうでない子がいる、生徒によって習熟度に差が生まれるのを防ぐため」というのが、“習った文字だけルール”を推奨する先生(あるいは学校)の考え方と言っていいと思います。

また、習っていない漢字を自ら覚えて使っている子が、仮に間違ってその字を覚えたり使ったりしていたら。

周りの子もその影響で間違って覚えてしまうかもしれない。先生も指導範囲外のことまで、すべてを教えることはできないというのももっともです。

このあたり、よく言えば“落ちこぼれを作らない教育”、悪く言えば“横並び思想”といわれるような、日本の義務教育の特徴がよく現れているところかもしれません。

“義務教育”だから指導に従うのは当然?

“義務教育”という制度については、あらためて言うまでもありませんが…日本国における「国民の三大義務」の一つです。

この義務教育という言葉について、しばしば語られる誤解があります。

義務教育というと「中学生までは、勉強するために学校に通わなければならない」という意味で捉えられがちですが、本来の趣旨からは外れています。

義務教育というのは、親(保護者)に対して「子供に教育を受けさせなければならない」ことを義務付けているもの。子供が教育を受ける権利を保証しているものです。

学校という集団の中で生活する以上、国や学校、先生の指導方針にある程度従うことは、もちろん大切なことですね。

しかし、子供には当然に教育を受ける権利がある以上、学校や先生が「これは習ってはいけない、まだ教わるべきではない」と一律に制限してしまうことは、望ましくないことだと思います。

その一方で、子供にとっても、それぞれの教育を受けるべき適切な学齢というのはあるはずです。個人差はあれど、何を学ぶにも順序は大事ですし、それぞれに得意・不得意もあれば適正もある。

なんでもかんでも必要なことだからと教えられていたのでは、子供にとって辛い“お勉強”となってしまいます。

ですから、教育漢字も学齢ごとの段階にわけて、習得すべき時期を定めていることには意義がある。

問題は「適切な時期に教わることが望ましい」というその基準が、指導者によって「適切な時期を迎えるまでは覚えても使うべきではない」という、低い基準への横並びを強制するキャップとして運用されてしまっていることです。

先生はすべての生徒に難しいことを教える必要はないけれど、せめて「できている子、やろうとしている子の邪魔をすることなく見守ってほしい」というのが、交ぜ書き問題をはじめ、義務教育全般に通ずる事務リーダーの考えです。

“氏名の交ぜ書き”特有の問題点

ただし、こと氏名に使われている漢字に関して言えば、そう単純な問題ではないのかも。

そこには人名用漢字(戸籍上の名前に使用できる漢字のうち、常用漢字以外のもの)もあるし、いわゆる“名乗り読み”と呼ばれる、人名特有の特殊な読み方も多くあります。

近年は特に“キラキラネーム”などといわれる、難読の(というか本来の読み方からは逸脱した)名前の子も多く、しばしば社会問題として取り上げられているのはご承知の通りです。

“時代の流れ”とか“個性の尊重”とか、そういった言葉で生温かく包(くる)まれながら、じわじわと市民権を得つつあるような気もしますけど…実際に子供たちが「それで漢字を覚えちゃうのは正直どうなの?」という心配は、ごく自然なものかと思います。

色鉛筆

ですが、そうであったとしても、いやそうであるからこそ、一律の基準を振りかざし、子供達に自分の正しい名前を書くことをためらわせるような指導をする事は、やめてもらいたい。

それは、小学校低学年とはいえ、子供のことを見くびった接し方に他なりません。子供を甘くみちゃいけない。自分の名前だけでなく、友達の名前に使われている漢字なら、子供は興味を持ってちゃんと覚えようとするよ。

もし読めなかったとしても、その子が「この字、なんて読むの?」と疑問を持ったら、わかる子や大人が教えてあげればいい。なにもおかしなことはない。

むしろ自分や友達、そこに関わっている沢山の人たちの名前について正面から学ぶ事。それこそが大切な教育になると確信しています。

参考:JA共済・小中学生書道コンクールの場合

夏休みの課題として取り入れている学校も多い、JA共済の主催する“小・中学生書道・交通安全ポスターコンクール”

その書道部門の募集要項に、学年・氏名の記入方法という項目があります。そこには次のようなルールが掲げられています。

・小学校1年生および2年生
学年・氏名とも「漢数字」「漢字」「ひらがな」いずれでもかまいません。ただし、アラビア数字は使用しないでください。

・小学校3年生以上
学年は「漢数字」・氏名は原則「漢字」とします。

このコンクールにおいては、小学3年生以上は原則的に漢字での記名で統一されています。

ポイントは、“小学2年生以下”であっても、漢字で記名することを制限していないこと。こう書くべきであると強制していないこと。

これも氏名交ぜ書き問題についての一つの指標に過ぎませんが、個人的には「学校でもこうあって欲しいな」という姿に近いものです。

あなたは、子供の名前の交ぜ書き問題についてどう思いますか?

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