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今月16日、Yahoo!ニュースのトップにこんな記事が掲載され、話題になっています。

残業に36協定必須 4割知らぬ | 2017/7/16(日) - Yahoo!ニュース

6月に行われたアンケートで、20~65歳の働き手1千人(自営業やアルバイトなどは除く)がインターネットで回答。会社が残業を命じるには労使協定を結ぶ必要があることについて尋ねたところ、「知っている」と答えたのは56.5%、「知らない」は43.5%だった。

会社に勤めている人の中で「残業にまったく関わったことがない」という人は、ほとんどいないでしょう。

部署や立場によって残業の有無に違いはあっても、会社関係者に「一人も時間外労働や休日出勤をしている人がいない」というケースは、かなり珍しいと思います。

ということは、あなたの勤めている会社でも、当然この“36(サブロク)協定”は締結されているんです。36協定なしの残業は、そのまま”労働基準法違反”ですからね。

けれど、今回のアンケートでは4割以上の人が「36協定が必須とは知らなかった」と答えています。もし、その存在をしらないのだとしたら…それって一体どういうこと?

今回は、勤めに出る以上、全ての人に関わってくる時間外労働協定、いわゆる36協定についてお話ししたいと思います。

万が一、これまでに「協定を届出したことがない」という場合は、今すぐにでも作成して届出を済ませましょう。 記事の中で協定書のひな形・記入例をご紹介しますので、参考にしてくださいね。

時間外労働協定 通称“36(サブロク)協定”

そもそも、36協定って何のために必要なんでしょうか?

ルール

会社が労働者に対して時間外労働をさせる場合には、必ず「労使の間において“時間外労働協定”を結んでおかなくてはいけない」という決まりがあります。

会社は、あらかじめ従業員との間で残業に関する約束を交わし、それを書面にして行政官庁(労働基準監督署)に届け出をしておかなければ、従業員に対して残業を命じることができないんです。

この残業についての取決めのことを“時間外労働協定”といい、一般に“36(サブロク)協定”と呼ばれています。

サブロク協定という響き自体は、耳にしたことのある人が多いかもしれませんね。この36協定という呼び名は、時間外労働協定を定めている「労働基準法第36条」に由来しています。

労働基準法上の労働時間について

労働時間・休憩・休日について、労働基準法第32条では次のように定められています。

  • 使用者は、原則として「1日に8時間、1週間に40時間」を超えて労働させてはいけません。
  • 使用者は、労働時間が「6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩」を与えなければいけません。
  • 使用者は、少なくとも「毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日」を与えなければなりません。

原則的にいえば、これらの基準を超えて従業員を働かせることはできません。ああ、なんというホワイトな労働環境。素敵。

けれど、実際には繁忙期の納期に追われたり、大規模なクレームへの対応を迫られたり、予期せぬトラブルが発生したり…と、理想の時間内労働だけでは対応できない場面というのはいくらでもありますよね。

また、労働者にとっても、残業がまったくないというのは不都合なこともあります。

「週40時間を超えてでも、よりお金を稼ぐためにもっと働きたい!」

そう思っている人は、たくさんいると思います。そんな時に、なにがなんでも法令違反とみなすのでは不便ですね。

そこで、あらかじめ労使の間で協定を結び、届出をすることで、仕事の状況や労使の都合にあわせて柔軟に対応できる制度が求められます。それこそが、この36協定に象徴される“時間外労働協定制度“なんです。

36協定の存在を4割が知らない…“36協定の原則と実情”

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事務リーダーはブログタイトルにもある通り、自分自身は残業とはほぼ無縁の閑職(?)サラリーマンです。ですが、社内でも部署によっては時間外労働や休日出勤は当たり前。

経理や労務管理も業務のうちなので、今回話題となっている“36(サブロク)協定”についても、協定書の作成から交付、届出までを、例年春の事業年度開始前に行っています。

36協定の性質上、本当ならば労働者がその存在や意味を知らないわけがないんです。36協定は「労使協定」ですから、会社と従業員(労働組合)との合意に基づいて結ばれています。

つまり、私たち労働者自身が、協定を結んだ当事者であるということ。その内容を知らないのはおかしいですよね。

厚生労働省のサイトでは、36協定について次のように説明されています。

労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられています。

本来は、労働者によって選ばれた代表と会社との間で協定を交わし、それぞれ1部ずつ、その協定書を保管します。そして、会社はそれを基に管轄の労働基準監督署へと届け出ます。

ですから、現実には約4割が「知らない」と答えたというのは、本当ならばあるはずのない話なんです。

36協定が正しく締結されていない事例

とはいえ、正直にいえば、原則通りに“労使の間で正しく協定が結ばれていない”ケースがあることはよく知っているので、実際にはこんなもんかなーという感想です。

協定に合意したはずの労働者がその内容について知らないということは、次のような理由が考えられます。

  • 会社側が労働者側には知らせずに協定書を作成し、届出している。
  • 労働者の代表が正しく選ばれておらず、一部の人だけしか内容を把握していない。
  • そもそも会社が協定書の作成・届出をしていない。

こういったケースですね。無届は論外として、どれも適正な手続きとはいえないものの、行政側からはさほど厳しい監視の目が行き届いていないように思います。

イエローカード

しかし、36協定を正しく届け出ず、労働基準法上の制限を超えて労働させた場合には「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金(労働基準法第119条)」に処される場合があります。

これは会社の経営者だけでなく、使用者である”労働者の上司”も、その罰則を受ける可能性があります。

悪意(故意)で正しく届出をしていない場合の理由は、単に「面倒くさいから」程度かもしれません。ですが、どんな理由があるにせよ、法令違反であることに違いはありません。

もし、制度をしらずに届出をしていない事業所があるとしたら、すぐにでも協定を結んで届出すべきです。なにしろ、この届出で提出すべき書類はたった一つ、“協定届”のみで足りるからです。

36協定で届出すべきただ1枚の書類

早速ですが、提出すべき「時間外労働・休日労働に関する協定届」の様式がこちらです。

36協定ひな形

東京労働局のサイトからダウンロードすることができます。協定届は2部提出し(原本とコピーで可)、一部は会社の控えとして3年間保管しなければなりません。

ちなみに、協定届は支店や工場等の“事業場単位”で作成します。会社で1枚ではありませんので注意が必要です。

参考までに、事務リーダーが作成した36協定の協定届のうち、1枚を載せておきます。

36協定

事業の種類は「建設事業」です。36協定に定める労働時間等には、業種によってその限度に違いがあります。詳しくは、東京労働局のサイトに掲載されている手引でご確認ください。

必要な事項さえもれなく記載されていれば、自前の様式でもまったく問題ありませんよ。

36協定の協定書作成不要の特例

さきほど、届出には「協定届のみで足りる」と言ったのには訳があります。

36協定を締結する場合、労使で話し合って決めた労働条件を書面として残した「協定書」と、労基署に協定を結んだことを届け出るための「協定届(様式第9号)」という2種類の書類ができあがります。

これらは別々の書類なので、労基署に「協定届」を提出する際、その内容を確認できる「協定書」を一緒に提出するというのが本来の手順となります。

ただし、この36協定の届出には特例があって、届出書に労働者の代表者が署名又は記名・押印することで、協定書を兼ねる(協定書の作成を省略する)ことができるんです。

あくまでも「協定届が協定書の役割も果たす」ために協定書を作らなくてもよいのであって、労使間での話し合いによる「協定」自体が不要なわけではありませんので、念のため。

また、届出をするにあたっては就業規則等がきちんと定められていることが大前提となります。

協定内容は社内で周知徹底

業務連絡

36協定に限らず、労使協定や就業規則は、見やすい場所に掲示する・書面を労働者に交付する・パソコン等でいつでも確認できるようにしておく等の方法によって、きちんと周知することが大切です。

“労使協定”という原則のもと、双方が正しく協定内容について理解し、適正な労働時間・労働条件が守られるよう、あらためて36協定について社内で情報共有してみてはいかがですか?

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