経理パソコン

帳簿書類の作成・管理は、事務員にとって毎日の炊事や洗濯といった家事のようなもの。とはいっても、毎日決まった時間に取り掛かるような類の仕事ではなく、他の仕事の合間にやることが多いですよね。

家事に例えれば「なんていいお天気!布団干しちゃおっ!」みたいなノリでしょうか。

寝起き

いや、そんなに気持ちのいい作業じゃないか。こつこつ書き上げたところで、ふかふかの布団が待ってるわけもなく…地味な仕事です。

そもそも、事務員の仕事に華やかな場面なんてねーけどな!

会社には欠かすことのできない“帳簿作成”

そんな帳簿作成ですが、もしもすべてを手書きでやるとしたら…これはもう大変です。しかし、実際に手書きで帳簿を備えている所はまだまだ多いと思います。特に個人事業を営んでいると、その割合は少なくないでしょう。確定申告時期のバタバタも、もはや風物詩。

なんとか帳簿作成にかかる労力を軽減できないものか?いやむしろ、帳簿なんて作らなくてもなんとかならないものか?もしかして、イケるのか…?

まあ、結論からいうと“帳簿なしでイケるわけない”んですが。

今回は「どうして帳簿書類を備えなければいけないのか?」「紙に書いた帳簿でなければいけないのか?」についてお話したいと思います。

帳簿書類の保存期間は?守らないとどうなる?

家計簿

まず始めに、法人における“帳簿書類とは何か?”について、基本的なことを確認しておきましょう。「そんなの今更言われなくても知ってるよ!」という方は読み飛ばしてしまって構いません。

(実を言うと、何のために帳簿をつけているのかわからない…なんか必要だっていうから…)という方、今からでも遅くはありません。こっそり覚えて帰ってね。

さて、帳簿の備え付けについて法人税法では次のように規定されています。

(以下、国税庁サイトより引用)

 法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注2)保存しなければなりません。
 また、法人が、取引情報の授受を電磁的方式によって行う電子取引をした場合には、原則としてその電磁的記録(電子データ)をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。
 ただし、その電磁的記録を出力した紙によって保存しているときには、電磁的記録を保存する必要はありません。

(注1) 「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

(注2) 平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。

 また、平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。

(引用ここまで)

つまり、法人税法上においては、紙媒体・電子媒体のどちらで保存するかに関わらず、帳簿書類は原則7年間保存しなければなりません。

帳簿書類は原則7年間保存しなければならない

では、これに違反が認められた場合、例えば税務調査が入った時に必要な帳簿の備え付けがなかったらどうなるか?

税務署

大きく分けて2つの問題が発生します。

  1. 消費税法における「仕入税額控除」が受けられない
  2. 青色申告の承認取り消し

次から順に説明します。

帳簿書類の不備による2つの問題点

  1. 消費税法における「仕入税額控除」が受けられない
  2. 消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げ等に係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します。これを“仕入税額控除”といいます。

    税務署に納付しなければならない消費税額の計算式は次のようになります。

    (売上にかかった消費税)-(仕入れにかかった消費税)=(支払うべき消費税)

    この「(仕入にかかった消費税)を差し引くこと=仕入税額控除」です。帳簿書類の保存は仕入税額の控除の適用を受けるための要件の一つなので、これに違反した場合は仕入税額控除が受けられません。結果として(売上にかかった消費税)が、そっくりそのまま(支払うべき消費税)の額となってしまいます。

  3. 青色申告の承認取り消し
青色申告

青色申告の場合、白色申告に比べて「事業にかかったとして認められる経費や受けられる所得控除が多くなる」というメリットがあります。中でも「その年の赤字を、来年以降に繰り越すことができる」というのは非常に大きな特典です。

青色申告を申請するためには「帳簿書類の備え付け」が必須条件ですから、これに違反した場合は当然に青色申告の承認を取り消され、その特典を受けることができなくなってしまいます。

以上の2つが、帳簿書類の不備によっておこる問題点です。

あくまでも「帳簿」を備え付けなければならないのであり「“紙に印刷(ないしは手書き)された”帳簿」である必要はありません。それでも、会社から紙帳簿がなくなることはないでしょう。それはなぜかというと…

みんな“紙帳簿”が大好き!※ただし作成者を除く

金銭出納帳

世の事務員さん達が手掛ける多くの帳簿の中で、手書きで作成している割合ってどのくらいですかね?今の時代、総務や経理に関する仕事の多くはパソコンでこなしているでしょう。

先ほども言いましたが、帳簿の備え付けにあたっては必ずしも「紙の帳簿で保存する」必要はありません。電磁的記録等による保存、つまりパソコンやCDなどの記録媒体に保存する方法をとっても問題ないんです。

ただし、電子データのみで国税関係の帳簿を作成・保管しておく場合には、あらかじめ税務署に申請しておかなければなりません。(国税庁のサイト『[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請』参照)

手書き帳簿は作るのが大変。そのくせ、出来上がりが見やすくキレイかというと…最初は丁寧に書いていても、だんだんと崩れてくるんですよねぇ。

ではなぜ、あえて手書きで帳簿をつけている事業所がいまだに多いのか?パソコン作業に疎い人が作っているから?そういうケースもあるでしょうが、一番の理由は「見る人にとって紙帳簿の方が都合がいいから」ですよ。

紙帳簿には紙帳簿の利点がある

スマホ全盛のこの時代にあっても「ニュースは新聞で見るのが一番!」という人は多いです。イメージ戦略としての“新聞社の営業努力の賜物”といった意見もありますが、こと新聞に限らず“気軽に手に取って、即読める”紙媒体の強みは確かにあると思います。

新聞チェック

うちでも仕入帳などはパソコン入力してデータ化していますが、現場の人が見たいという時には、ルーズリーフに印刷した冊子(バインダー)を渡しています。頼まれてから印刷するのでは都合が悪いので、よく誰かが確認しにくる帳簿類については、あらかじめ印刷して冊子にしてあります。

社内のネットワーク上で共有するだけで、誰でも帳簿ファイルにアクセス可能にはなるんですが、現場に言わせれば「そんなしちめんどくさい事やってられっか!」ってなもんです。みんな専用のPCで仕事をしてるのにも関わらず…

それでも、急なお客さんの照会があった時、たとえば売掛金や家賃などの支払い状況の問合せに対して「こうなってます(ババーン!)」ってな具合に、その場で見せられるのは紙帳簿の強みです。やはり、冊子になっていた方が便利な場面というのは結構あるものです。

税務上は必須ではない紙帳簿。ですが、普段も参照する機会がある帳簿については、今後も紙に手書き、あるいは印刷して備えておかなくてはいけないようです。少なくともうちの会社では。みんな、紙帳簿が好きなんです。

せめて、紙帳簿作成業務を楽にしたい!

今回は「帳簿書類の必要性と紙帳簿」について取り上げました。

帳簿作成は、事務員にとって避けては通れぬ道。その中でも、手書き帳簿はいばら道。それならばせめて、徒歩で行くより自転車で、颯爽と走り抜けたいもんです。

次回は、紙帳簿作成のための支援策「エクセル入力した帳簿を印刷する方法」について書きたいと思います。

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