印紙看板

領収書や契約書、約束手形などに貼りつけられる“収入印紙”、通称:印紙。事務仕事をしていると扱う機会は多いですね。

先日の記事『【謄本・印鑑証明書】主な登記手数料一覧』で登記手数料について取り上げたので、その納付のために必要な収入印紙についての基礎知識と、取り扱う上での注意点を押さえておきましょう。

収入印紙の用途と種類

収入印紙とは「国に納めるべき税金や手数料などの徴収のため、政府が発行している証票」です。

大きさや形は郵便切手とほぼ同じ。課税対象となる文書に対して、その納税のために貼りつける“切手のようなもの”ですね。現在発行されている収入印紙は全部で31種類あります。リストは次の通り。

収入印紙額面一覧(平成29年4月1日現在。単位は円)
1 2 5 10 20 30 40 50
60 80 100 120 200 300 400 500
600 1000 2000 3000 4000 5000 6000 8000
10000 20000 30000 40000 50000 60000 100000

※スマホ版では表が正しく表示されません。よろしければPCからご覧ください。

収入印紙が購入できる場所

収入印紙は全国の郵便局の他、法務局やコンビニエンスストアなど「印紙売りさばき所」の看板を掲げている窓口やお店で購入することができます。

印紙売りさばき所とは

日本郵便株式会社(郵便局)から委託を受けて、印紙の販売を行う店や窓口のこと。

そもそも、“収入印紙の取扱いは日本郵便が行うこと”と法律で定められています(印紙をもつてする歳入金納付に関する法律)。さらに日本郵便は「郵便切手類販売所等に関する法律」に基づき、郵便切手や印紙の販売を信頼できる他の者に業務委託できることになっています。

委託の流れとしては「国」⇒「日本郵便」⇒「印紙売りさばき所」です。

ですから「印紙は法務局で購入できる」というのは間違いではないのですが、正確にいうと「法務局に併設された売店等(=印紙売りさばき所)で購入できる」ということになります。

公務員であるところの法務局職員が直接販売することはなく、業務委託を受けた民間の業者が、印紙売りさばき所として印紙の取扱を行っているという形です。

印紙売りさばき所には、次のような場所があります。

  • 法務局内の窓口や隣接した売店
  • 役所・役場内の窓口や売店
  • コンビニエンスストア
  • 雑貨屋やたばこ屋など町の商店

これらの印紙売りさばき所で収入印紙を購入する場合、その代金は非課税となります。また、印紙の販売にあたっては「定価で公平に販売すること」と法律に定められています。つまり、どこの印紙売りさばき所でも必ず同じ値段で購入することができます。

印紙売りさばき所

またそれ以外に、いわゆる“金券ショップ”でも収入印紙を手に入れることができます。売っている印紙は郵便局等で扱っている物と変わりありません。

金券ショップは法律に定められた“印紙売りさばき所”ではない

ただし、金券ショップは日本郵便の委託を受けた“印紙売りさばき所”ではありません。そのため、取扱いにあたっては大きく2つの違いがあります。

  1. 販売額が一定でない
  2. 法律で定価販売が義務付けられた印紙売りさばき所と違い、値引きされた価格で販売されていることが多い。だいたい1~2%程度、額面よりも安く購入できることが多いようです。

    一方で、中には定価よりも上乗せした価格で販売されているケースもあり、こちらも人気があります。

    「…えっ?」と不思議に思った方。そりゃそうですよね。郵便局にいけば額面で買えるんですから。それでは、いったいどこに“割高な印紙”の需要があるのか?それは、次の“違い②”ではっきりします。

  3. 印紙の購入代金には消費税が課税される

収入印紙の購入代金が非課税となるのは、郵便局や印紙売りさばき所で購入する場合に限られます。つまり、金券ショップで印紙を購入する場合、その購入代金には消費税が含まれています。

個人での利用や免税業者にとっては、特に違いが生じることはありません。しかし課税業者の場合、金券ショップでの仕入による節税のメリットを受けられることになります。

例として、200円の収入印紙を購入した場合をみてみましょう。

・額面200円の印紙を“課税仕入(金券ショップで購入)”した場合

購入金額200円の内訳は、

税抜(本体)価格:186円
消費税額(8%):14円

となります。つまり購入金額200円のうち、14円を仮払消費税として取り扱えるということです。

消費税の納税額は、おおざっぱに言えば「売上にかかる消費税(仮受消費税)ー仕入れにかかる消費税(仮払消費税)」という計算式で求められます。課税仕入によって仮払消費税の額がそれだけ大きくなれば、納税すべき消費税を抑えることができるというわけです。

ここに、先ほど出てきた“割高な印紙”に利用価値が生まれるカラクリがあります。

ピコン!

仮に、額面200円の印紙を、価格上乗せした205円で購入した場合で考えてみましょう。

・免税業者の場合

本来200円の印紙を205円で購入していますから、単純に5円の損です。

・課税業者の場合

購入代金205円の内訳は

税抜(本体)価格:190円
消費税額(8%):15円

となります。印紙自体は190円で購入でき、15円は仮払消費税としてよいので、納税すべき消費税額はその分少なくて済むことになります。

・・・・・

収入印紙を扱う機会の多い課税業者であれば、金券ショップでの購入によって、節税できるメリットはとても魅力的。

ただし注意しなければならない点が一つ。ネットショッピングでの購入や個人間の売買はもとより、金券ショップでの購入についても、その印紙が偽造や不正によるものでないという保証はないことです。

たとえば、割り印などがない一見未使用の印紙でも、裏面の“のり”が無い状態の印紙は使用済み扱いとなり、交換や還付(後述します)の対象となりません。金券ショップでも買い取りを拒否される可能性が高いです。

収入印紙を金券ショップで購入して利用する場合には、そのメリットとデメリット(リスク)両方をよく検討することが大切です。

道府県で発行される“収入証紙”

ところで、収入印紙とよく似た名前の証票に「収入証紙」があります。収入印紙は国に対して税や手数料を納めるためのものですが、収入証紙は地方自治体に対して税や手数料を納める時に使われます。

収入証紙はパスポートの申請手続き運転免許の更新手数料など、意外と身近なところで使われています。ですが実務上は「支払われた手数料に応じてその窓口の担当者が証紙を貼りつける」といったような処理が多いため、実際に目にしたことのない人が多いかもしれませんね。

ちなみに、東京都や広島県など、一部の地方自治体では収入証紙が廃止されています。そうした地域では、収入証紙に代わって収入印紙や現金による支払い方法がとられています。また、福岡県では呼び名が“領収証紙”となっています。

少し話が逸れましたが、収入印紙について気になる注意点をいくつか見てみましょう。

収入印紙を扱う際の注意点

発行されている額面は31種類もあるのですが、よく使われる印紙は限られています。参考までに、事務リーダーの手元にあった印紙を数えたら11種類でした。次の画像がそれです。

DSC_2680

ちなみに、この中で特によく使うのは200円・400円・600円の3種類でしょうか。5万円以上/300万円以下の領収書や、10万円以上/300万円以下の手形に貼りつけるために常備しています。また額面1000円以上の印紙は領収書や手形の他、契約書に使うことが多いです。

それよりも使う機会は限られますが、50円の印紙は登記手数料として重宝します(印鑑証明書や地図などが1通450円)。また、500円の印紙は、これらの証明書が値下げ前は500円だった頃の名残ですね。これらは納税よりも手数料納付に使うことの多い額面です。

印紙税額については、国税庁のサイト《印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで》に詳しく載っていますのでご確認ください。

一方で、120円以下の印紙(額面50円を除く)は、まったく取り扱ったことがありません。どんな使い道があるのか教えてほしいくらい。

これは収入印紙を販売する側にも影響していて、200円などのポピュラーな印紙以外は在庫が切れているということも珍しくありません(郵便局でさえ!)。印紙売りさばき所であるところのコンビニや個人向けの金券ショップでは、200円の印紙以外は取り扱いがないことも多いです。購入にあたっては注意が必要です。

収入印紙は郵便局や法務局などで購入できますが、使わずに余った場合でも換金することはできません。郵便局で他の額面の収入印紙に交換することは可能ですが、1枚につき5円の手数料がかかります。また切手への交換もできません。

収入印紙を貼る必要のない文書に貼り付けたり、納税すべき額よりも多く貼り付けてしまった場合(=”過誤納金”といいます)には、印紙税の還付手続きをとることができます。誤って印紙を貼ってしまった書類を、そのままの状態で最寄りの税務署に持っていきましょう。手数料はなく、割り印をしてしまった印紙でも問題ないのでご安心ください。

過誤納金の還付手続きについては、国税庁のサイト《印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続》をご確認ください。還付申請に必要な書類のダウンロードもこちらから可能です。

収入印紙の取扱についてのポイント まとめ

今回の記事では、収入印紙を取り扱う上で注意すべき点を3つ挙げました。
  • 販売所によっては取扱のない額面がある。
  • 印紙は換金できないが、手数料を払えば別の印紙に交換ができる。
  • 過誤納した分は、税務署に還付を請求できる。

少額の過誤納の場合には、手続きにかかる労力に対して還付額が見合わないかもしれませんね…まあ、いざというときの参考にしてください。

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